神奈川県公立高校入学者選抜学力検査の結果(3年分)を分析しました。
公立高校の入試は、
・出題範囲が大学入試と比べるとはるかに狭く
・出題傾向も(分析はさほど必要ないほど)毎年ほぼ固定していて、
・問題の難易度も比較的易しいので、
基礎(英語や漢字の単語力・計算力・正確な公式暗記など)がしっかりしていると、
適切な指導を受ければ、短期間で解法のコツをつかめて得点アップします。
たとえば、昨年の受験生は、公立高校入試では(社会が簡単過ぎたこともあるが)最後の全県模試(1月実施)より100点以上アップしました。
<< 英語 >>
出題のねらい
・音声による英語を理解する力、
・単語を正しく書く力、
・文構造や語 法を理解する力、
・日常生活の場面に応じてふさわしい内容を考え表現する力、
・資 料から情報を整理して表現する力、
・英文から情報を正確に読み取る力、
・英文を論 理的に構成する力、
・まとまりのある文章の概要や要点をとらえ内容を理解する力 、
について、基本的な力と応用的な力を総合的にみることができるように出題し た。
入試結果
[正答率50%未満]
第1問ウ
第4問ウ、エ
第6問ウ
第8問ア、イ、ウ
[正答率20%未満]
第5問
ー 対策 ー
上位高を目指す場合、単語力は当然として、次の問題の正答率アップを目指すとよい。これら以外は全問正解を目指す。
第4問の並び替えは、感覚で解く生徒が多いため正答率が低くなると思われるが、
SVOCと品詞に習熟すれば容易に高得点できる。
第6問は、英文を正しく読み取った上で、流れ掴む(簡単な)国語力が要求される。
第5問の「英作文」が得意なら有利である。ここでも、SVOCの習熟度が優劣を分ける。
<< 数学 >>
出題のねらい
・数と式の計算技能、図形の計量についての力、
・図形についての基本的な知識を活用する力及び論理的に思考する力、
・関数とそのグラフについての基本的な概念の理解、問題を正しく把握し確率の考え方を活用する力、
・収集した 資料を活用する力、
をみることができるように出題した。
入試結果
[正答率20%未満]
第5問イ(確率)
[正答率10%未満]
第3問(線分比を利用した平面図形)
第4問ウ(二次関数)
第6問ウ(空間図形)
【傾向】
赤:出題率100% 青:出題率75%
計算:数や文字式・平方根・2次方程式など
確率:サイコロまたはカード
関数:y=ax^2の式 y = ax+b の式を求める
平面図形:円
平面図形:合同または相似の証明
空間図形:立体の表面積や体積
ー 対策 ー
確率は、順列と組み合わせを正しく理解することが重要。
また、整数問題との融合になっているので整数(素数・約数・最大公約数など)も強化すればよい。
関数は、図形との融合問題になっているので、線分比・相似・合同・等積変形を駆使して面積比を求める練習をすればよい。
一次関数y=ax+bについては、連立方程式で解くのではなく、傾きaを先に求める方が計算量は少なくて済む。
空間図形の最短距離問題は、見取り図から展開図を作成する力を養うことで、解法は容易になる。
補助線の作成力・合同や相似の判別力も優劣を分ける。
<< 国語 >>
出題のねらい
・文章全体の流れを理解しながら、文脈の中における語句の意味を とらえる力、
・表現上の工夫に注意する力、登場人物の描写や言動の意味などを考 え、内容を理解する力、
・文章を目的や必要に応じて要約したり要旨を的確にとら えたりする力、
・文章の構成や展開、表現の仕方を正確にとらえる力、
・目的に応じ て必要な情報を読み取る力、
・伝えたい事実や事柄を適切に表現する力、
・漢字を読む力と漢字を文や文章の中で適切に使う力、
・助詞や助動詞の働き に注意する力、
・短歌や俳句を読み味わう力
などについて、基本から応用の段階に至るまでの国語の力を総合的にみることができるように出題した。
入試結果
全般的に正答率は50%を越えている。
[正答率20%未満]
第4問のひとつ(論理的な文章)
第5問イ(論述)
ー 対策 ー
古典は、習得が容易なので、入試直前であっても類問を解くと得点アップする。
論述は、解法のパターンは固定しているので、類問を解いて解法を習得しておくとよい。
<< 理科 >>
出題のねらい
・科学的な知識や概念の理解とそれらを活用する力及び
・科学的な見方や考え方
をみることができるように出題した。
観察・実験に関しては、
・目的をもって実験を設定する力、
・観察・実験から得られた結果を分析して解釈する力、
・導き出した考えを表現する力
をみることができるように出題した。
入試結果
[正答率が低い分野]
物理は全般的に正答率が低い。特に、電気や電磁気が低い。
【傾向】
赤:出題率100% 青:出題率75% ○は履修学年
物理:①光と音
物理:②電流と磁界
化学:①物質のすがた
化学:②化学変化と物質の質量
化学:③水溶液とイオン
生物:②動物の体のつくりと働き
地学:①火山と地震
地学:②天気の変化
地学:③天体の動きと地球の自転・公転
ー 対策 ー
公式は覚えていても原理を理解していない生徒が多いため苦戦している。
原理と公式を正しく関連付けると、応用問題でも根拠に基づいて解けるようになる。
たとえば、電磁気の「フレミングの左手の法則」と「右ネジの法則」には強い関連があり、
その原理を覚えておけば、公立の入試問題には容易に対処できるようになる。
光の屈折では、屈折の原理をセグウェイの動きに対応付ければ、その進路は容易に判断できる。
・物理は、身の回りの現象を通して公式と原理を結びつける。
力学は、力の分離・合成を覚え浮力に結びつけ、等加速度運動を覚え力学的エネルギー保存の法則に結びつける。
波動は、弦の振動の特徴を覚え、波の性質を覚える。
電気は、V=RI、P=VIなど基本公式を覚え使いこなすこと。
電磁気は、右ネジの法則を使いこなすこと。
・化学は、まず化学式と化学反応式を覚える。
中和反応は、過不足ない状態での反応前後の比に着目する。
電池は、電子を出す方が負極で電子を受け取る方が正極であることを覚えておく。水平リーベ・・・も使いこなす。
電気分解は、陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極に引きつけられることを覚えておく。
・生物は、植物・動物共にまずその分類を覚え、それを格として知識を広げていく。
・地学は、それぞれの分野ごとに特徴を覚える。
岩石は、まず火成岩(新幹線はかりあげ、など)と堆積岩(レキ・サ・デイ・ギョウカイ岩など)の種類と特徴を覚え、知識を広げていく。
天体は、まず月の動きを宇宙と地上の両方から観測した動きを覚える。
地震は、P波・S波のグラブを書き活用する練習を積むこと。
天気は、まず気団や前線など天気図を読めること。湿度も計算できるようにしておく。
<< 社会 >>
出題のねらい
・地理的分野では、世界や日本の様々な地域の特色等についての基本的な知識や資料を活用する技能などを、
・歴史的分野では、古代から近現代まで の日本の歴史の大きな流れと各時代の特色に関する基本的な知識などを、
・公民的分野では、現代社会の特色、日本の政治・経済についての基本的な知識や資料を活用する技能などを、見ている。
入試結果
正答率は全分野共に50%前後になっている。
【傾向】
赤:出題率100% 青:出題率75%
世界地理:時差
世界地理:世界のすがた
日本地理:地形図の読み取り
歴史:満遍なく出題されるが、大正~現代が少し多い
公民:日本国憲法と基本的人権
その他:統計問題(表やグラフから読み取る)
ー 対策 ー
地理は、地図帳や地球儀で、頻出都市の位置を確認するとよい。
・世界については、まず地図の種類とその特徴を覚え、各地域の特色(気候や特産物など)を覚える。
・日本についても、同様だが、それに加えて地図記号や等高線など地形図を読めるようにしておく。
歴史は、資料集や年表で、各時代の特色を確認するとよい。
・政治、外交については、その流れを年表を活用し時代単位で時系列に覚える。年号は時代の変わり目を覚える。
・経済、文化については、時代単位でその特徴を覚える。具体例は資料集で確認する。
公民は、日本国憲法と基本的人権を丸暗記する。政治や経済はNHKニュースなども参考にするとよい。
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