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新入試と感染症に翻弄された2021年度大学入試

kawai が公表した、2021年の大学難易度の予想ボーダーは次の通りです。

共通テスト得点率(二次偏差値)

2020/08 → 2020/11/01 →  2021/01/23 →  2021/05/28  の順

実質倍率[志願倍率]

2020年度 → 2021年度 の順

静岡県立大学 薬学科  78%(60.0) → 75%(60.0) → 78%(60.0) → 81%(62.5) 2.9 → 6.5 [5.1  9.3]

静岡県立大学 薬科学  74%(55.0) → 71%(55.0) → 74%(55.0) → 77%(57.5) 2.5 → 3.4 [4.8 → 5.2]

信州大学 工学部建築  70%(55.0) → 67%(55.0) → 71%(55.0) → 73%(55.0) 2.7 → 3.8 [3.6  5.9]

2020/08 版は2020年度の入試結果、また、2021/05/28版は2021年度の入試結果を反映しているので、

それぞれ 2020年度、2021年度の入試の実態に最も近いボーダーです。

 

共通テストのボーダーは2020年度結果反映版入試直前版→入試直後版→2021年度入試結果反映版と大きく変動し、

 kawai の(sunbeneも)予想はぶれまくりました。本番の共通テストも、模試のそれとは大きく異なりました。

2021年度は、受験生だけでなく大手も新入試制度に翻弄され続けた一年でした。

 

2021/05/28版の偏差値ランキング(理系)で精査すれば、迷走ぶりが一目瞭然です。

75%(60.0)は相当する大学なし(1)、81%(62.5)は東工大(物質理工)や福島県立医科大(医)に相当し、

71%(55.0)は横浜市立大(理)など、77%(57.5)は名古屋大(理)や北海道大(理系)に相当し、

前者は中堅国公立大クラスで、後者はどちらも難関国公立大クラスというのが一般的な認識です。

67%(55.0)は相当する大学なし(2)、73%(55.0)は九州大(芸術工)や神戸大(海洋政策)などの難関大・準難関大に相当します。

(1) 共通テスト75%クラス(横浜国立大(理工)や大阪公立大(工)など)の準難関大にとって、二次偏差値60.0は高すぎます。

(2) 共通テスト67%クラス(東京海洋大(海洋工)や静岡大(工農)など)の中堅大学にとって、二次偏差値55.0は高すぎます。

 

県立大(薬)も信大(建築)も感染症の影響もあり前年度より大幅に倍率が上がり、大手想定外の結果になりました。

特に、2021年度の県立大(薬)は受験者の学力も大手の想定より大幅にアップしたので厳しい入試になりました。

不合格の受験生には、合格を信じていたのに、結果を知って唖然とした者が多かったようです。

 

二次偏差値は、大学の合否と模試をリンクしているだけなので、信頼性は低いかもしれません。

県立大(薬)については、当塾生の二次偏差値は 70 に達していたので、ボーダー偏差値アップに貢献したかもしれません。

信大(建築)については、当塾生の学力(共通・二次共に)は入試直前までアップし続けたのでボーダーには反映されません。

明学大に進学した当塾生は全員が入試直前でさえ E 判定でした。(判定に惑わされず) 

基礎力の鍛錬を怠ることなく、入試問題の傾向を精査し、入試直前まで実践力を鍛え続けた結果、勝ち取った合格でした。

 

※1 新入試制度に翻弄されても、実態に合わせようと尽力するkawaiの真摯な姿勢には、敬意を表したいと思います。

※2 toshin の偏差値は(大学発表の入試結果とかけ離れており)精度が低く参考にならないので、改善を期待します。

※3 模試は所詮、基礎力を確認しているに過ぎず多様な入試には対応できないので、過信や一喜一憂は禁物です。

※4 邁進し続ける個々の胆力・個性や入試にアジャストした対策が、合格不可能レベルを合格有望レベルに押し上げます。

※5 その努力は、生命力向上につながり、より良い人生につながると期待できます。


共通テストのみで合否を決定した横浜国立大(理工:前期)の[kawaiの予想]と[大学公表の結果]は次の通り。

 

学科 [予想(2021/01/23)] [大学公表の合格最低点]

機械ー機械工学 81% 78%

機械ー材料工学 78% 79%

機械ー海洋空間 80% 78%

化学ー化学応用 80% 69%

化学ーバイオ  78% 80%

数物ー数理科学 82% 79%

数物ー物理工学 80% 79%

数物ー電子情報 82% 82%

数物ー情報工学 83% 85%

 

次の二学科以外は、kawaiの予想は概ね良好でした。

化学ー化学応用”は大穴でした。この学科の受験生はラッキーでした。

数理ー情報工学”は、倍率は2.0と低いけれども厳しい入試になりました。

 

しかし、うがった見方をすると、”kawaiの予想に、受験者や保護者が大きな影響を受けている”、といえそうです。

そうでなければ、予想と結果がここまで近いはずはありません。大手には透明性や公平性を期待したいところです。

 

また、立命館大学の薬学科(共通テスト7科目利用)の合格最低点は85%ですから、

この共通テスト利用で立命館大(薬)に合格した受験者は、横国大を受験すればほとんど全員合格したことになります。

この事実は、私立大の共通テスト利用の難度の高さを証明していますが、

その一方で、二次試験を課さない国公立大の存在意義(もしくは価値)は低いと感じてしまいます。

対局にあるのが、共通テストを足切りのみに利用する東工大です。

東工大は、二次試験で広い知識と深い技量を要求する難度の高いテストで受験生を苦しめ優れた人材を獲得しています。

鉄は熱いうちに打て”といいますから、(安い授業料で高い教育を施す)国公立大学には受験生に高い学力を求めることを期待します。