”文型”と”品詞”の識別は、英作文力・英文読解力の、延いては英語力(4技能)の基盤(土台)となります。
公立の中学・高校そして英会話系の塾では、これらの識別の重要性を意識していないのか、詳しく指導しません。そのためか、低い学力で頭打ちになる生徒が多く見られます。
英会話塾に5年以上通っていた、最近入塾の中1生に、中1生向け(やさしめの)模試を実施したところ、惨憺たる結果でした。多くは英会話力≒英語力と思っているようですが、実際には英会話力<<英語力です。ネイティブスピーカーたちは会話は達者でも英語力(英語の国語力)は必ずしも高くないし、仮に英語力が高くても日本人にわかるように指導することは至難の技です。英語力に加えて日本語の国語力も要求されるわけですから。たとえば、NHKのネイティブスピーカー講師がセンター試験を解いたら180点に届きませんでしたが、有名講師でもこの程度に過ぎないのです。この盲点に英会話塾の受講者の多くは気づいていないようです。
私立の難関校では、英会話にはさほど時間を裂かず、自習用教材で自習させています。その一方で、文型・品詞の識別についてとても綿密にしかも厳しく指導します。ただし、学校での授業時間に比べ学習すべき質・量は共に膨大であるのが実情ですから、生徒の負担はとても大きくなります。消化不良を起こすと定期試験でひどい点をとり受験にも悪影響を与えてしまうので、生徒たちは必死で覚えようとします。その実情に合わせて、当塾では適切に指導し、生徒の負担を軽減していますが、生徒たちはこのような努力を続け、次第に効率的な学習法を体得し、その結果として模試や大学受験で好成績を収めています。
私立の中2生は、英語は中学には入ってから(ABCの書き方から)始め、英語学習歴はまだ1年半程度ですが、既に慶應高などの難関高校の入試問題でも高得点を取っています。また、高3生も英語は中1から始めましたが、東大A判定の学力に達しています。 (駿台や河合のセンター試験)模試では、私立高生だけでなく当塾の高3生は全員が180点を超え、(英会話塾には通わないのに)リスニングも9割を超えます。
中学で学習する英熟語「帰宅する」で、品詞識別の一例を紹介します。
「帰宅する」の英熟語とその直訳は次の通りです。
〇 go home 行く/自宅に
× go to home 行く/に/自宅に(※直訳すると(国語の助詞)“に”が重複していて、本文が誤りだと気づきます)
〇 come home 来る/自宅に
× come to home 来る/に/自宅に ※
〇 arrive home 着く/自宅に
〇 arrive at home 着く/に/自宅
上の文を品詞に分解すると、
〇 go (自動詞) home (副詞)
× go (自動詞) to (前置詞) home (副詞) ※
〇 come (自動詞) home (副詞)
× come (自動詞) to (前置詞) home (副詞) ※
〇 arrive (自動詞) home (副詞)
〇 arrive (自動詞) at (前置詞) home (名詞)
go(行く) と come(来る) の品詞は自動詞です。日本語訳は「に行く」「に来る」ではありません。
home の品詞は 副詞と名詞があり日本語訳は、副詞のときは「自宅に」、名詞のときは「自宅」です。
home は、 go, come に続くときには”副詞のみ”を取りますが、arrive に続くときには”副詞”と”名詞”の両方を取ることができます。
英文を作るときには文型と品詞を正しく識別することが肝要です。これらに精通しないと、いつまで経っても正しい英文は作れず英文読解も上達しませんが、これらに精通した上で語彙力を強化すれば、複雑な英文でも自在に作れ正しく読解できるようになります。
ちなみに、英語の品詞と国語(日本語)の品詞は基本的に一致しません。たとえば、英語の前置詞・関係詞や分詞などは国語にはなく、国語の助詞・連体詞や形容動詞などの品詞は英語にはありません。また、”英語の副詞は、名詞以外を修飾する語” ですが、”国語の副詞は、主に連用修飾語ですが連体修飾語になることもあります”。たとえば、”少し後”の”少し”は副詞ですが名詞の”後”を修飾しています。
英語を指導するとき、このような違いを正しく識別して指導する場合とそうでない場合とでは生徒の上達にも差が出ます。ネーティブスピーカーの弱点は他にもいくつかありますが、国語力の未熟さは、5年以上英語塾に通っても生徒の英語力が上がらない一因になっています。
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