· 

加水分解

理論化学(化学平衡)の発展、加水分解の解法です。(岐阜薬科大学)


 

塩化アンモニウムを水に溶かすと、次のように電離して平衡状態に達する。

 

 

 

水のモル濃度[H2O]は一定とみなすことができるため、式②の平衡定数をKとすると、塩化アンモニウムの加水分解定数Khは、[NH4+], [NH3]および[H+]を用いて、Kh= K[H2O] = () と表すことができる。ただし、オキソニウムイオン[H3O+]は水素イオン[H+]で示す。一方、アンモニアは水溶液中で式③のような電離平衡の状態に達する。

 

 (イ)・・・③

 

アンモニアの電離定数Kbと水のイオン積Kwは、[NH3], [NH4+], [H+] および [OH-] を用いて、それぞれKb = (), Kw = () と表される。したがって、KhKbKwを用いて、Kh=() と表すことができる。一方、塩化アンモニウムはほぼ完全に電離するので、アンモニウムイオン濃度[NH4+] は塩化アンモニウム水溶液の濃度c[mol/L]で近似できる。また、式②で生じるアンモニアとオキソニウムイオン(水素イオン)の濃度は等しいことから、Khc[H+]を用いると、Kh = () と表すことができる。

 

1. ()()に適当な式(()はイオン反応式)を記せ。

2.  25℃におけるアンモニアの電離定数は1.60×10-5mol/Lである。塩化アンモニウムの加水分解定数Khを求めよ。

  水のイオン積Kw=1.00×10-14(mol/L)2

3. 1.00×10-2mol/Lの塩化アンモニウム水溶液のpHを求めよ。Log102=0.30


(1)

(ア) より、

 

()

()

 

()

()  

() ②で生じるは等しい。また、。よって、

 

 

(2)

 

より、

 

 


(3)
より、