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0からの英語学習、1年後の学力

アルファベットさえ書けなかった中1の生徒が1年間の受講後に、スラスラと読め/訳せるようになった英文です。

 

公立中学で未習の英単語が散在し構文も少し複雑なので公立の中学生の多くは読み熟せません。確かな英語力が要求されるため、普通の英会話教室や高校受験の学習塾に通っている程度では読めません。難関大入試レベルの英単語も含まれているので、公立の高1生の多くも(学区のトップ高生でも)正確には訳せません。 

ただし、英語圏では小学生が読んでいる文ですから、指導にはさまざまな工夫/高い技量が求められますが、英語圏外の日本であっても(適切な指導を受ければ)小学生や中学1年生でも読めるようになります。

本文は洗練されており、大学受験英語のプロならば一目瞭然ですが、短文でありながら英語力向上にバツグンの効果を発揮する良文です。単語/文法/語法/構文も満載で実戦的です。文法については、等位接続詞/従属接続詞や前置詞が多用されていて、助動詞/不定詞/分詞/使役動詞/受動態や関係代名詞も使われています。文型は第1文型~第5文型まですべて使われています。注意深ければ、say と tell の使い方の違い(語法)も習得できます。本文にある later に関連して、late の比較級 later(時) と latter(順序) の違いに着目できればさらに効率よい学習になります。

このはなしには続きがあります。Milagros での偶然(miracles)の出会いはハッピーとはいえない民事訴訟に発展し、出会いから2年後、生みの親の敗訴で終わりました。公立中学生には(学校や通常の塾では授業の難度が低いので)難しい英文です。しかし、高校生なら難無く読め/訳せてしかるべきです。英語学習を始めて1年程度の中1生でも読めるのですから。

 

ちなみに、"did file" 、"did tell" の "did" は一般動詞でも代動詞でもなく、強調の助動詞 "do" の過去形です。助動詞 do の訳は「まさに~する」「本当に~する」「実際に~する」「(命令文のとき)ぜひ~しなさい」などがあり、ここでは「実際に~する」が適しています。

The judge's ruling came two years after the chance encounter. を直訳すると、”裁判の判決はやって来た。偶然の出会いの2年後に”となります。ここで、品詞について after は前置詞、chance は形容詞、encounter は名詞、です。"the chance encounter" が無いと、after を later に代えます。

The judge's ruling came two years later. これを直訳すると、"裁判の判決はやって来た。2年後に”となります。ここで、later は副詞です。

 

英文読解や英作文の基礎力のひとつに、単語を正しく品詞に分解する力(品詞分解力)があります。難関大に多くの合格者を輩出している進学校は、この能力を徹底的に鍛えます。学校から多量の宿題や厳しいテストを課されて、生徒たちは、はじめは悲鳴をあげますが、しばらくすると慣れて当たり前のように耐えられるようになり、当たり前のように早稲田や慶應クラスならそれぞれ100名以上合格していきます。

一方、この品詞分解力が弱い生徒のほとんどは、読解力や作文力も弱いのですが、ここに原因であることに気づかないのが現状です。英単語を大量に覚えるとある程度までの学力には達しますが、それでも比較的低い学力に留まります。

たとえば、The judge's ruling came two years after the chance encounter.の文で、after を接続詞、chance を名詞、encounter を動詞と勘違いしてしまうと、enconter の時制に誤りがあり訳そうにも無理があって、結局、間違ったいい加減な訳をしてしまいます。after, chance, encounter の何れも、このような品詞は有り得ますが文法的には有り得ないことで間違いに気づくべきですが、品詞分解力が弱いと、気づかず/気づいても正しい品詞を特定できず結局、正しく訳せません。

このような生徒には品詞分解力を鍛えるよう指導しています。このとき独力で乗り越えることは難しいので、適宜アドバイスしています。品詞分解力を継続して鍛錬することで、生徒の英語力は飛躍的に向上していきます