同年度のラサールと慶應の長文の入試問題を比較します。実際の入試問題には、どちらの高校も2倍以上長いものがありますが、スペースの関係で短いものを選びました。
ラサールの問題は採点に時間がかかり、実戦的で国立大学入試に繋がる問題になっています。優れた人材を集めたいという熱意を感じます。
一方、慶應はほとんどが選択問題で、短時間で採点でき、運が良ければ合格できてしまいます。私立大学の多くもこの形式を採用しています。
問題の難易度は、ラサールの方が全般的に高い傾向があります。
どちらの問題も公立高校入試より遥かに難しく、たとえば、(英語長文が特徴の)厚木高の特色検査よりも遥かに難しいですが、センター試験よりは易しいので、公立高の進学校生なら高1の終わりから高2のはじめに取り組むと手頃な問題になっています。県西地域は教育熱が低くトップ高でも進学実績はとても低いのが現実で、積小為大に努めている学生はあまり見られませんが、金次郎さんに倣(なら)って刻苦勉励してみると新しい世界が開けるかもしれません。
中高一貫の進学校生は、中3のはじめまでには高得点を取らないといけない問題です。ラサール高に入学した生徒たちはその後1年間の猛勉強の後に、中学入学の生徒たちと合流します。ラサールに合格しても高校受験生は中学受験生より遥かに遅れているのです。彼らの情熱は桜島クラスですがそれでも、適性があれば追いつけますし、そうでなければ落ちこぼれます。
ラサール高の入試問題です。 解法のポイントを少しだけ解説すると、
Aの3は、"Try" は直後に to do が続き、"keep"は"keep O C"で、while は従属接続詞なので 「while SV」となります。ここで、try は try O, try doing の用法、while は for a while といった名詞の用法もありますが、選択肢にない、文意が通らない、と判断します。
Bの2の”they” が指すのは、2行前の"they"は×。文脈がつながりません。3行目の"Mom~fighters." が○です。この問は they, it を文法と文脈から正しく推測できるか基本的な単語力(put out)があるかをチェックしています。
英文法・語法の基礎を修得していれば易しい問題で、このテクニックは大学受験でも通用します。公立高校の入試問題は文型/品詞やそれらの活用を知らなくても解けますから、教師や高校受験専門の講師たちの知識も中途半場ですが、超難関高受験や大学受験では必須の基礎知識です。
並び替えは、感覚で解くのではなく文法・語法の裏付けに基づいて解きます。長文読解や英作文も同様です。
慶應義塾高の入試問題です。ポイントを少し解説します。
Ⅲの6は、MEGAFEPS のGに気づけば簡単です。Ⅳの(1)は「 It is C for S to do 」構文で解けます。
Ⅳの(2)は直前にBecause があり、”," があることから「"Because を含む副詞句"+”,"+ SV」構文になります。公立中でも「"副詞節", SV 」構文を習いますが、そこに気づけば簡単にかつ正確に並べられます。ここで、because の品詞は接続詞ではなく because of の群前置詞とすればよいことがわかります。
さらに、問題を解き終わった後、多少脱線しますが群前置詞 because of の類義語 on acount of, thanks to, owing to, due to などもいっしょに覚えれば語彙力を効率良く強化できます。
難度の高い入試問題に挑戦し続けて高い学力レベルに達すると、クイズを解く感覚で解くようになります。難度の高い問題にはクイズの要素が満載だからです。ウルトラクイズのような”遊び”と思える番組に難関校生が多く出場して不思議に思っている(いた?)かもしれませんが、学問との共通点は難問に挑戦する”好奇心”であり”遊び心”です。彼らは強い好奇心(遊び心)でクイズを解き、同じ感覚で学問修得に挑戦しているのです。勉強を続けていると、あるレベルを超えると遊びと同じ感覚になります。遊ぶように学ぶようになったら本物です。ただし、過労には十分注意することです。
国立大入試にはラサールの問題が向いていますが、また、大学入試の方がよりおもしろくもありますが、慶應高の問題はこのクイズの要素が強いので個人的にはおもしろいと感じます。公立高校の入試では問題が簡単なのでこの感覚を体感することは難しいですが、文科省による制限や制約が厳しいので仕方のないことかもしれません。
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