物理の電気回路とその合成抵抗は公立中では中2で中学受験では小4で履修します。
直列回路は(R = R1+R2+・・・)となり、単純で簡単に覚えられますが、
並列回路は(1/R = 1/R1+1/R2+・・・)となり、少し複雑で理解し辛い傾向があります。
ここでは、並列回路の合成抵抗の求め方を、中学生向けと小学生向けの2通り紹介します。
オームの法則V(V)=R(Ω)・Ⅰ(A)は、中学でも小学でも同様です。
【公立の中2】
1.抵抗R1とR2のかかる電圧は同じ。
2.R1に流れる電流A1とR2に流れる電流A2の合計は、電源(V)から流出する電流(Ⅰ)に等しい。
1より、V=R1・Ⅰ1、V=R2・Ⅰ2
⇔ Ⅰ1=V/R1 、Ⅰ2=R2/V ・・・ ①
2より、Ⅰ=Ⅰ1+Ⅰ2 ・・・ ②
①を②に代入して、
Ⅰ=V/R1 +R2/V=(1/R1 +1/R2)・V ・・・③
ここで、V=R・Ⅰ⇔Ⅰ=(1/R)・V ・・・④
③、④より、R1 , R2 の合成抵抗 R (F2、F3)は、1/R=1/R1 +1/R2
【中学受験の小4】
1.抵抗R1を流れる電流は、抵抗R2の影響は受けない。すなはち、抵抗R2は存在しないものとして求める(F5)。同様に、
2.抵抗R2を流れる電流は、抵抗R1の影響は受けない。すなはち、抵抗R1は存在しないものとして求める(F6)。
3.R1に流れる電流A1とR2に流れる電流A2の合計は、電源(V)から流出する電流(Ⅰ)に等しい(F4)。
1,2より、Ⅰ1=V÷R1、Ⅰ2=V÷R2 ・・・⑤
3,⑤より、Ⅰ=Ⅰ1+Ⅰ2、R=V÷Ⅰ ⇒ R=V÷(Ⅰ1+Ⅰ2)
[補足]
合成抵抗は、電圧Vに依存しないので、電圧が分かっていなくても求めることができます。
電圧が分かっていないときには、V=1.0(V) として求めるとよいでしょう。
例題:V=10(V), R1=2.0(Ω), R2=5.0(Ω)のとき、R1, R2 の合成抵抗 R を求めよ。
【公立の中2の解き方】
1/R=1/2.0+1/5.0=(5.0+2.0)/(2.0・5.0)
R=10/7.0 (Ω)
【中学受験の小4の解き方】
Ⅰ1=10÷2.0=5.0 (A)
Ⅰ2=10÷5.0=2.0 (A)
Ⅰ=5.0+2.0=7.0(A)
合成抵抗R=V÷Ⅰより、R=10÷7=10/7 (Ω)
[補足]
V=1.0(V) として求めると、
Ⅰ1=1.0÷2.0=0.5 (A)
Ⅰ2=1.0÷5.0=0.2 (A)
Ⅰ=0.5+0.2=0.7 (A)
合成抵抗R=V÷Ⅰより、R=1.0÷0.7=10/7 (Ω)
V=20(V)として求めると、
Ⅰ1=20÷2.0=10 (A)
Ⅰ2=20÷5.0=4.0 (A)
Ⅰ=10+4.0=14(A)
合成抵抗R=V÷Ⅰより、R=20÷14=10/7 (Ω)
ちなみに、公立中の生徒の多くは、並列回路の原理を正しく理解できないまま高校に進学していきますが、
中学受験の小学生の多くは(高い指導力を求められますが)、まず(小4の解き方)で並列回路の解法に慣れ、大量の問題で練習を重ね、
小6になるころには並列回路の原理を正しく理解し、公式1/R=1/R1 +1/R2も使い熟してしまいます。
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